よろずやジロー~宮本次朗【プレカットの宮本工業グループ相談役】のブログ

プレカットの宮本工業グループ相談役、宮本次朗の一代記。人生を彩る貴重な出会い、感銘を受けた言葉を振り返りつつ、明日を語ります。

銀座いまむかし

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 振り返れば、このブログの第1回のテーマが銀座。そこで今回は再び銀座のお話をして中締め※としようと思います。
 約50年前、銀座には1万軒ものバー・クラブがあったそうです。そんな最盛期に私は初めて銀座に足を踏み入れました。以来、自分が稼いだお金で銀座に行くこと、飲んだ後は帝国ホテルに帰ることが私の目標になりました。接待に必要なこともあり銀座通いはすぐ実現できましたが、帝国ホテルを常宿にできたのは千葉工場でプレカットを始めたとき、私が38歳になったときでした。そこから数えても約35年通う銀座。その間クラブの数は年々減り、いまや約2千といわれています。他業種の店が増えて賑やかさは変わらぬとはいえ、昔を知る身としては寂しいこの頃です。寂しい、残念といえば、クラブに在籍する女性の“層”も様変わりしました。私の感覚で恐縮ですが、昔はプロのホステスと素人(アルバイトなど)の割合が9:1だったのが今は真逆。プロは1割にも満たない印象です。アルバイトはダメというわけではありませんが、銀座のプロのホステスはまさに世界に誇れる“もてなしの達人”です。政治、経済、文化。どんな会話にも対応できるスキルと、それを裏打ちする知識の集積。なにより洗練されたマナーはプロならではのもの。そんなサービスが格式を高め、客の側もその地にふさわしい存在であろうと居住まいを正すところが、銀座が銀座たるゆえんだと思うのです。
 いまやオールドファンの社交場となった感もあるクラブですが、その中でも私はオーナーママがいる店を訪ねるようにしています。例えば『麻衣子』や『あや』。名店といわれるこれらの店には今も銀座の空気が流れ、同好の士が集うのです。店を訪ねて約2時間。じっくり座りグラスを傾けるひとときは至福の時間であるとともに、私にとっては今も昔も勉強の時間。新たな知識に刺激を受け、明日への活力をいただく機会となっています。

 よろずやジロー、きょうのひとこと。
 思えば、銀座にふさわしい人間でありたいと願い続けた50年。

※今回までの内容に加筆、修正を施したものを今春、上梓する予定です。