よろずやジロー~宮本次朗【プレカットの宮本工業グループ相談役】のブログ

プレカットの宮本工業グループ相談役、宮本次朗の一代記。人生を彩る貴重な出会い、感銘を受けた言葉を振り返りつつ、明日を語ります。

先人から学んだこと

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経営の師である父(写真右)

 経営についての知識はゼロといっていい若い時分から、私は家業である木材・製材業を任されました。学生時代は勉強嫌いで通っていた私も、生活が懸かっている仕事ではそういってもいられません。とにかく先輩たちに付いていけるよう頑張るうち、いつの間にか「一所懸命」が身に付いたような気がします。
 さて、私が社長の職を拝命した当時は田中角栄の列島改造論が世を席巻していました。皆が勢いに任せた経営を進めるなか、その勢いに乗るべきかどうかも分からなかった私は、最も身近な経営者である父と、最も有名な経営者である松下幸之助に学ぶことにしました。
 父からは、信念以上に執念を持って経営にあたることの大切さを学びました。一方、幸之助翁からは、氏が説いた「経営の三つの条件」に強い影響を受けました。曰く、絶対条件として、理念が確立できれば半分成功したようなものだ。普通条件として、職場改革で社員が働きやすいフィールドを作れば80%の成功。付帯条件として、分かりやすい戦略・戦術を駆使すれば100%の成功を収められるというものです。
 このうち、職場改革の重要性はとりわけ心に響くものでした。当時の木材業界は今でいう3Kが当たり前の世界。私も新人のとき洗礼を受けた訳で、これではダメだという危機意識があったのです。時あたかも、当社が製材業一辺倒から現地挽き、再割、プレカットへと展開していく時代。営業センスとフレッシュな感覚を持つ人材を集めようと、私は35歳ぐらいまでの若い人をどんどん採用しました。その際に気付いた求人の3ヶ条ともいうべき心得があります。
①互いに納得できるまで労働条件を煮詰める。
②時給が1000円必要な人に1100円与える必要はないが、999円ではダメ。
③家庭の事情、例えば借金問題を抱える人がいれば、とにかく最後まで話を聞く。
現在は職人の気質や業界の体質も変わり、心得も変化していますが、とことん話をし分かり合うことを目指す姿勢は今も変えていません。そうすることで、志を一にする仲間を得、目標に向かって突き進む。父に学び、50年近くにわたって当社の理念としてきた「執念」がここにも生きている気がします。

 よろずやジロー、きょうのひとこと。
 いつの世も学びは大事。