ノーベル化学賞に旭化成の吉野彰名誉フェローが決まりました。同じ年代の一人として大変うれしく、感動を覚えました。そして、テレビ各局のインタビューに答える氏の言葉は、過去のどの受賞者のそれより深く印象に残りました。
まずは、記者会見で成功の秘訣を問われた際の回答。「研究者というのは基本的に一つは頭が柔らかくないといけない。もう一つが真逆の執着心というんでしょうか。しつこくしつこく最後まで諦めない。この2つが必要だと思います。」という言葉です。
木材業界で初めて本格的にプレカットを手掛けた私にとって、まさに我が意を得たり。リチウムイオン電池の開発とは全く比ぶべくもありませんが、当時誰も見向きもしなかったプレカットを木造住宅のスタンダードに押し上げるには、考え方の柔軟性と目標達成への執着心が不可欠でした。
もうひとつは、大阪のテレビ局によるインタビューの際、二児の母である視聴者から寄せられた「お母さんは吉野さんをどのように育てたのか。」という質問への回答。およそ「母は私に失敗をさせた。親は子どもに、ときには無理やりにでも失敗をさせるべき。」との趣旨でした。
この言葉に、私はすぐさま自分の母親を思い浮かべました。当ブログで過去に記しました(※)が、母は私に、まずは何事も自分でやってみるよう仕向ける人でした。そのため私は、枕の中の小豆で不味いぜんざいを作ってしまったり、竿竹の竹で噛むこともできないタケノコ煮をこしらえてしまったりしたのです。
次元の差こそあれ、吉野さんの考えに共感し、氏のお母さんのエピソードに我が母の姿を重ねる。私は単に同年代というだけではない親近感を覚え、その偉業をさらに誇らしく感じた一日でした。吉野さん、ノーベル賞受賞、本当におめでとうございます。心よりお喜び申し上げます。
よろずやジロー、きょうのひとこと。
私も身に付けたい”吉野さんスマイル”。
※下記ブログ参照
母の子育て術①~枕とぜんざいの話~
母の子育て術②~竿竹と煮物の話~