よろずやジロー~宮本次朗【プレカットの宮本工業グループ相談役】のブログ

プレカットの宮本工業グループ相談役、宮本次朗の一代記。人生を彩る貴重な出会い、感銘を受けた言葉を振り返りつつ、明日を語ります。

忘れていた宝物②~古典に学ぶ

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当時書き写した本は今も書棚に。

 書類の山から見つかった宝物。26冊の大学ノートに記した内容の多くは、私が読んだ書物の書き写しと要点のメモでした。例えば『人生の知恵』(守屋洋著)を読んだ際には、人を使うときの心得について書かれた部分や人間誰しも長所・短所を持っているとの指摘、人を動かす「謙・寛・仁」についての解説などを書き写すといった具合です。また、当時の私は、この本に出てくる言葉に対応する当社の「四つの力」について、次のようにまとめていました。
 1)骨格=技術力
 2)頭=企画力
 3)手足=販売力
 4)血液=財力
ノートにこう記したことはとうに失念していましたが、今読んでも、おそらく同じように当てはめるでしょう。いや、これは私の考え方が一貫しているというより、古典と呼ばれる書物には時代を超えた普遍性があるということだと思います。
 古典といえば時代がぐんと遡りますが、唐の国の皇帝、太宗の言行録である『貞観政要』について。源実朝や北条時頼、徳川家康ら時の為政者が購読信奉したとされるこの書物の有名な一節といえば「草創と守成といずれが難きや」。当時私は50歳。父が興した製材所を受け継いで20数年、いずれは息子に会社を継承する立場とあって、この言葉は心に刺さりました。今もって印象深く、何度も読み返す一冊です。
 どこにそんな時間があったのか、読んだ本の記録はまだまだ続いていました。例えば、戦に勝つための教訓が書かれた『孫子』。孫子に言わせれば、五分の戦いは勝つかもしれないが、負けるかもしれない。すなわち博打であるから、勝負するなら7~8割の勝算が必要だとなります。
 思えば、孫子に出会う10年ほど前に私はプレカット事業を始めるという大博打を打っていたわけで、後先が逆になっていたら当時の私はどう考えたでしょう。ただ、そんな私をフォローするかのように孫子はこのようにも述べています。「八方手を尽くし、5分の勝算を6~7分に引き上げよ」「もし負けたらどうするか、対策を講じておけ」。
 プレカット事業に進む際、私は仕入れ先、取引先、そして銀行を巻き込んで行動をともにしました。また、足がかりの千葉で失敗しても本体が潰れない程度の損失に抑えられるよう手を打っていました。つまり、孫子の最低限の兵法だけは守っていたのです。

 よろずやジロー、きょうのひとこと。
 中国の処世訓『菜根譚』が問う、リーダーにとって重要なのは能力か徳か。
 答はまたいつかの機会に。