よろずやジロー~宮本次朗【プレカットの宮本工業グループ相談役】のブログ

プレカットの宮本工業グループ相談役、宮本次朗の一代記。人生を彩る貴重な出会い、感銘を受けた言葉を振り返りつつ、明日を語ります。

木材団地の共有私道にまつわるエトセトラ①

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和歌山木材港団地の案内図。赤線部が共有私道だったところ。

 長らく会社経営に携わるうち、和歌山木材協同組合や和歌山木材港団地振興会、和歌山木材港株式会社など業界団体の要職をいくつか務めさせていただきました。任期中、いろいろな懸案事項に直面しましたが、なかでも最も印象深いのが、解決まで長い月日がかかった「団地の共有私道問題」です。
 「自分のものであり、自分のものでない」のが共有私道だというのは、自宅前の私道を隣近所で共有されている方ならよくお分かりだと思います。和歌山木材港団地の場合、さらに話はややこしく、和歌山県による団地分譲の際、団地内道路の権利を土地の購入面積に応じて引き受ける方式が取られました。つまり私道全体を各社で案分した訳ですが、木材産業の斜陽化で土地を売却したり、社業をたたんだりする会社が相次ぐなか、私道の維持管理が難しくなっていきました。というのも、土地売買の際、私道の譲渡が伴わないケースが続出し、団地内に土地を持っているのに私道を持たない業者や私道だけの権利者などが生まれたため、補修経費の案分負担がスムーズにいかなくなったのです。
 さてなんとしたものか。小さな傷みは、道に面する会社が直すにしても、道の真ん中に大きな窪みができてしまった場合などはそうもいきません。私たちは、恒久的な維持管理のためには、県または和歌山市に私道を寄付し公道化する他ないとの結論に至り、私道の無償提供の承諾を権利者から取り付けることに奔走しました。団地内に工場を構える各社はもちろん、大阪、はたまた遠くは東京にいる権利者のもとまで。しかし、バブル経済終焉後の地価低迷期とはいえ、所有する土地に価値があると考えるのはむしろ当然のこと。「買い取ってもらえないか。」「何らかの補償はないのか。」との意見も出ましたが、公道化の意義と必要性を何度も説明し、粘り強く交渉した結果、なんとか皆さんから承諾を得ることができました。
 「これで問題解決だ。」そう思ったのも束の間。今度はさらなる難題が私たちを待ち受けていたのです。(続く)

 よろずやジロー、きょうのひとこと。
 一難去ってまた一難。