よろずやジロー~宮本次朗【プレカットの宮本工業グループ相談役】のブログ

プレカットの宮本工業グループ相談役、宮本次朗の一代記。人生を彩る貴重な出会い、感銘を受けた言葉を振り返りつつ、明日を語ります。

プレカット、その先へ~木造非住宅

f:id:yorozuyajiro:20190925143016j:plain

大阪府岬町に完成した、ATA構法によるテニスコート。

 2012年、私は社長を退き会長に就任しました。この間の心持ちについては何度か触れてきましたが、今回は職務上の"棲み分け"について。
 バブル経済崩壊からの「失われた20年」は木材業界に暗い影を落とし続けました。多くの業者が倒産、廃業の憂き目に遭うなか、当社はプレカットのパイオニアとしてのアドバンテージを生かして、なんとか持ちこたえたというのが正直なところです。膠着状態から脱却し、次のステージに進むために何をすべきか。私は会長就任にあたって、新社長と各取締役に従来事業の経営を託し、自らは新規事業の開拓を担うことにしました。
 ちょうどその頃、改正省エネ法/木材利用促進法が施行され、公共建築、大規模施設など非住宅分野への木材利用の道が開けました。住宅着工件数の伸びが見込めないなか、これは大きなチャンスです。1棟あたりの使用木材パーツが多いことも、3工場を抱える当社にとっては追い風。私はプレカット技術を活かす新機軸として、和歌山工場を拠点に非住宅木造の普及を目指すことにしました。
 その結果、倉庫、工場、公共建築物に木造が採用されるなど、取組みが徐々に実を結び始めています。例えば、梅の里として知られる和歌山県みなべ町にある県立南部高校の木造校舎には当社のプレカット材が用いられました。また、集合住宅においても、木が本来持つぬくもりを活かした建物づくりが評価され、老人ホームなど各種施設を受注できるようになりました。さらには、当社も工法の一つとして取り入れた、株式会社ATAによる『ATAハイブリッド構法』。一般流通材で最大33メートルのスパンを実現できるもので、当社でも倉庫・テニスコートを手がけました。
 このように、非住宅木造の可能性は今も広がり続けています。さらなる展開を目指して、私も木の良さを今一度考えながら、頭をひねっているところです。

 よろずやジロー、きょうのひとこと。
 鉄・コンクリートから木材へ。
 可能性を信じて、さあ、もうひと頑張り。