よろずやジロー~宮本次朗【プレカットの宮本工業グループ相談役】のブログ

プレカットの宮本工業グループ相談役、宮本次朗の一代記。人生を彩る貴重な出会い、感銘を受けた言葉を振り返りつつ、明日を語ります。

プレカット実用化へ③

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1986年頃の千葉工場。

 「何のご用でしょう。」そう声をかけてこられたのは、やはり社長さんでした。後から考えると、この時点で潮目は変わっていたのだと思います。私は、ついさっき担当者に話したのと同じ内容を伝えるとともに、①予算は5千万円しかないこと、②しかし、このシステムが完成すれば、日本の住宅の未来が変わることを一生懸命に訴えました。
 すると社長は「数十億円もらってやるような仕事。それでも万全なものになるかどうかは分からない。」しかし、続けて「返事は少し待ってもらえますか。」とおっしゃいました。すかさず「どれくらい待てばいいですか。」と尋ねた私への返答は「1週間くらい待てますか。」でした。
 そのことば通り、1週間後、担当者から「ご希望通りのシステムが作れそうですよ。」と連絡が入りました。しかも、すでに開発作業に取り掛かってくれているとのこと。感激した私は、社長に謝意を伝えてくださいとお願いするとともに、システム開発を正式に発注しました。
 そこからさらに約1ヶ月、ついにシステムができあがりました。現行とさほど変わらないCAD/CAMの完成です。これで千葉工場の一角で開店休業していたラインが生き返りました。ここでは、私の理想としていた全自動の工程が行われ、作業能力は実に大工の約20倍。加工された構造材が実際にラインから出てきたときの喜びは、今でも忘れることができません。
 そして、それは同時に、日本初の本格的『プレカット』誕生の瞬間でもあったのです。

 よろずやジロー、きょうのひとこと。
 無理難題を聞いてくれた社長に唯々感謝。