さて、このことばの意味はなんでしょう。頭とお尻の一文字ずつを取ると祇園。つまり、京都は祇園の地名のルーツなのです。ゆえに、平家物語でおなじみの祇園精舎も正式には祇樹給孤独園精舎というそうで。このことばを初めて目にしたのは、昭和50年代、上京する機会が多かった頃の新幹線の車内広告でした。見慣れない言葉を見付けた際、なんとなくメモをする癖がある私は、ただでさえ敷居の高い祇園の、さらに格式ばった表記が気になって手帳に写しました。その後、連想ゲームのように、宮川、上七軒、先斗町といった花街の名も手帳には増えていきました。
メモする地名は増えても縁遠さに変わりはなかった祇園ですが、あるときM商事、K銀行との会合で祇園、宮川に赴くことに。自分に似合うのは赤提灯だと思いながら訪ねてみると、これがなんとも素晴らしい。楽しく、また勉強になる経験ができたものだと感動したことを覚えています。
その後、今度は友人のYさんから、ぜひ紹介したい人がいるから京都にとお誘いがありました。早速出向き、紹介されたのは京都の三条祇園画廊のKさん。Kさんは若い頃、難波の大和屋で板前をしていたとかで、美術品はもちろん、料理や酒にも精通された方です。その後もお目にかかることが多く、今では年に3、4回は食事を共にするお付き合いをさせてもらっています。
そんな食事会の、あるときの会場が件の上七軒でした。初めての場所であり、目的の店も有名なところだったので緊張したのですが、その緊張も束の間。食事をし、棟続きのクラブでカラオケに興じ始めた頃にはすっかり身がなじみ、時間が経つのも忘れるくらい勉強になりました。それ以来、私にとって京都で一番落ち着く場所といえば上七軒。皆さんも一度いかがですか。
よろずやジロー、きょうのひとこと。
野の花も花街も色とりどり。
まだまだ勉強?です。