よろずやジロー~宮本次朗【プレカットの宮本工業グループ相談役】のブログ

プレカットの宮本工業グループ相談役、宮本次朗の一代記。人生を彩る貴重な出会い、感銘を受けた言葉を振り返りつつ、明日を語ります。

宮本工業グループ75年史ダイジェスト⑤

 哲治が社長に就任し、私が会長に就いた2012年10月以降、当社はこの2人による両輪体制で経営の安定と新機軸の構築を目指すことになった。
 哲治社長は就任当日の第53期経営方針発表会で次のように決意を述べている。


 創業者の祖父、2代目の宮本オーナーの基で築き上げられてきたこの会社を存続させるということに大変な重責を感じておりますが、反対に一度きりの人生の中でこのような大役を務めさせて頂けるという喜びも感じております。この会社はオーナー会社として今日までやってきましたが、今、現在の経営環境、また今後の経営環境を予測するにあたり、トップダウン経営だけではこの先、存続していくのはかなり難しいと感じております。今後、私は優秀な人材の育成に努め、そのなかで次期社長に相応しい人材が出てくれば同族企業から脱却したいと思います。※あいさつ文より抜粋、一部改稿。


 「企業は人なり」の社訓を受け継ぎ、企業の存続と「従業員の生活を守る」ことを誓った哲治社長が真っ先に手を付けたのは財務体質の改善である。設備投資の抑制とコスト削減の徹底を図ったことで借入金の売上高対比は徐々に低下し、いまや目標達成に近づいている。ただこの間、他社がプレカット加工機の更新を進めて多彩なニーズに対応するなか、当社は既存の設備で対抗せざるを得なかったのも事実である。こうした状況を打開すべく、哲治社長は反転攻勢に出た。財務体質の改善が見通せた段階で3工場のライン更新を決断したのである。銀行からの融資を取り付け、2014年7月、本社工場に最新鋭の5軸加工機を導入するなど横架材ラインを更新。千葉工場でも2017年6月、仙台工場も2018年7月にそれぞれ同様のライン更新を実施した。
 一方、建設部では大規模建築物の施工への取組みがスタート。すると公共建築物での木材利用を促すための公共建築物木材利用促進法が2010年10月に施行され、当社では公共・民間の大規模施設など木造非住宅分野への事業展開を打ち出した。そして木造非住宅の可能性を広げるための一手として2016年8月、ATAハイブリッド構法を導入し、倉庫や屋内テニスコートなどの施工に活用している。
 2018年10月、私は代表取締役会長を退き相談役となった。これに先がけ、バトンタッチ完了を見据えて取り組んだのが人材育成である。利益を生み出す企画の立案能力を鍛える研修と、よりよい職場環境を作り出すためのメンタルマネジメント研修。このふたつを取り入れ、各人の経営意識・即断実行力の醸成を目指した。そのうえで、最後は人のつながりが仕事を制すという実感のもと、経営の根本を「ヒト・モノ・カネ」から「ヒト・ヒト・ヒト」へと捉え直すことを求めた。

 以上が、宮本工業グループ75年の歴史を私の視点でまとめたダイジェスト。いかがでしたでしょうか。社史『宮本工業グループ75年史』は2022年刊行予定。次なる100年史へのステップとなる一冊にすべく、鋭意編纂中です。