よろずやジロー~宮本次朗【プレカットの宮本工業グループ相談役】のブログ

プレカットの宮本工業グループ相談役、宮本次朗の一代記。人生を彩る貴重な出会い、感銘を受けた言葉を振り返りつつ、明日を語ります。

次の一手の打ちどころ

 プレカットへの事業転換と和歌山、千葉、仙台の3拠点体制の確立を目指していた頃、私は『次の主役~社長のめしの種』(高島陽・ 高島健一著)という本に出会いました。そのなかにあったのが「井中者(いなかもの)からグローバル族へ」との見出し。田舎者は井の中の蛙であるということを痛烈に皮肉ったことばで、和歌山から全国展開を考えていた私に向けられているように感じたのを今でもはっきりと憶えています。
 そこに書かれていたのは、グローバルとはほど遠い日本の現実でした。当時、日本の海外旅行者は年間1000万人に達し訪日外国人の数も同400万人に及んだというのに海外銀行に口座を持つ企業は数少なく、国際的な金融商品とも無縁。これでは外国人のことを南蛮人、異人さんと呼んでいた明治以前と変わらない。ただ、一方で海外勤務や海外旅行などを機に他国の風土や歴史に触れ、井中者から脱却する日本人も増えてきてはいる。そんな話でした。
 本を読み終えたとき私は、その昔、年に1~2回は訪ねたアメリカ西海岸での原木の検品作業を思い出しました。結局、英語は話せないままでしたが、アメリカという国の雰囲気は肌で感じることができましたし、その後の仕事に役立つことも多々ありました。旅行や仕事でアメリカ以外の国を訪ねたことも然り。いろんな経験をさせてもらったことが、和歌山から全国へという気概につながったのだと思います。
 製材業に見切りを付け、プレカットの実用化と全国への普及に邁進した当時からはや30年あまり。当社では私の後継の仲間たちが次なる飛躍の機会を窺ってくれています。その突破口が自前のフレーマー育成にあるのか、次世代のプレカットにあるのか、はたまた・・・。さらにいえば、当社が今後脱却すべき「井の中」は日本なのか、木材業界なのか、はたまた我々の頭にいつしかこびりついた固定観念なのか。ここ数年、ありがたいことに業績は安定していますが、現状にあぐらをかくことなく、「常にパイオニアたれ」との気概を持って進んでいきたいものです。