よろずやジロー~宮本次朗【プレカットの宮本工業グループ相談役】のブログ

プレカットの宮本工業グループ相談役、宮本次朗の一代記。人生を彩る貴重な出会い、感銘を受けた言葉を振り返りつつ、明日を語ります。

紀の国と木の神様

伊太祁曽神社の木祭りにて

 信心深い人物だった父の影響か、私も小さな頃から神仏に手を合わせることが習慣づいています。本社前に築いた、正一位末広稲荷大明神を祀る社にお参りするのは毎朝の日課。出張時には和歌山の方角を確かめて遥拝します。また、和歌山市の伊太祁曽神社にはことあるごとに訪れて手を合わせています。というのも、ここのご祭神は日本書紀に見える素戔嗚尊(すさのおのみこと)の子である五十猛命(いたけるのみこと)。木種をもって天降り、全国に植林したとされ、和歌山が『紀(木)の国』と呼ばれる由来となった神様なのです。
 そして、ここ伊太祁曽神社で毎年4月の第1日曜日に行われるのが『木祭り』。境内に多くの縁日の屋台が並ぶことから長年地元の人々に親しまれているお祭りで、私はこの日、県内外の木材業の皆さんとともにお参りし、業界の発展と自身の商売繁盛・家内安全を願うのが恒例行事となっています。
 さて平成25年(2013)、三重県の伊勢神宮では62回目となる式年遷宮が行われました。これは20年に一度宮処を改め社殿や御装束神宝など全てを新しくするもので神宮最大の神事です。その遷宮に関する行事のひとつ、新しい御正殿の周囲に敷き詰める『お白石持行事』に私は参加することができました。2日間の旅程は、お白石を運ぶため山車を押したり、外宮・内宮と二見輿玉神社に参拝したりと盛り沢山。なんとも貴重な経験でした。
 実は、この縁を紡いでくれたのが他ならぬ伊太祁曽神社。和歌山木材協同組合の役職を長らく務めたことからのある意味“役得”なのですが、木の神様からのご褒美ととらえるのは僭越に過ぎるでしょうか。
 このときのお礼代わりではありませんが、伊太祁曽神社についてもうひとこと。ここは『続日本紀』の文武天皇大宝2年(702)にその名が初見されるほどの伝統を持つ一方で、禰宜の奥重貴さんがSNSを積極的に活用して情報発信するなど、進取の気風にも富んだ神社です。そして過去の雑誌の記事には奥さんの次のようなことばが掲載されていました。
1.人々の気を高める木々の力に満ちて
2.さまざまな困難の克服に努力すればまことの福を得ることができる
3.木や森は人々を高い精神へと導く などなど。
 まさしく木の国を代表するにふさわしいことばだと感服した次第です。