よろずやジロー~宮本次朗【プレカットの宮本工業グループ相談役】のブログ

プレカットの宮本工業グループ相談役、宮本次朗の一代記。人生を彩る貴重な出会い、感銘を受けた言葉を振り返りつつ、明日を語ります。

雲外蒼天

札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座ホームページより

 「この先生に診てもらいたい。でも自分の住んでいる田舎と病院は300kmも離れている。もし自分がそんな病院に手術を受けに行ったら、だれが家を守る。だれが畑に水を撒く。だから手術を諦めるんです。」
 そんな声を聞くにつけ、彼は何かいい方法はないものか研究していたといいます。夜、たまたま点けたテレビで見た彼の名は竹政伊知朗さん。大阪医科大学、大阪大学大学院を卒業後、阪大で医師として治療と指導にあたり、2015年からは札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座の教授を務めておられるお医者さんです。
 竹政さんはこれまでに2500例以上を手がけたという大腸がん手術のエキスパート。阪大で培った技術を買われ札幌に活動の場を移した彼ですが、北海道の大地でまず直面したのが、その途方もない広さだったといいます。例えば、同じ北海道でも札幌と根室は400kmも離れていて往来するのも一苦労。人口密度も低いため、医師1人あたりの医療担当面積は東京の100倍以上にもなるそうです。
 そこで取り組んだのが遠隔医療支援。札幌と地方の現場をリアルタイムにつないで映像と音声を共有し、手術の指導にあたるものです。このほか、札幌医科大では手術ロボットの活用に力を入れていて、今後はロボットを遠隔医療に応用していくとのことでした。
 以上がテレビとインターネットを通じて知った竹政さんの取組みなのですが、冒頭の番組のなかで彼は、座右の銘として「雲外蒼天」という言葉を挙げていました。13世紀の文人、謝枋得(しゃ・ほうとく)の詩にある「鶴は雲外を穿ち青天に上る」に由来し、文字通りの意味は<雲を突き抜けたその先には、青空が広がっている>、転じて<努力して苦しみを乗り越えれば、素晴らしい世界が待っている>。最近では、将棋の藤井聡太竜王が2021年、棋聖に就いた際に揮毫したことでも知られる言葉です。竹政さんはこの四字に「若い医師たちが苦難を乗り越え、患者の喜ぶ姿を見られるように」という思いを込め、医大教室の座右の銘にしたとのこと。
 今回のブログ、受け売りばかりで恐縮です。ただ、努力の積み重ねが何より大事なことだけは私も承知しています。この先、どうあがいても名医にはなれませんが、少しでも人の役に立つ存在になれるよう頑張っていきたいと感じた夜でした。

※NHKザ・ヒューマン「立ち止まらない外科医 竹政伊知朗」