失くしたことさえ忘れていた物が、偶然見つかるという経験はありませんか。ある日の私がそうでした。来客と目の前の棚に保管している書類について話していたとき「あれ、あの棚の中に他にも何かあったような・・・」との思いが広がり「ちょっと失礼。」と扉を開けてみると、それが出てきました。平成8(1996)年の役員・経営幹部研修会の資料と、その下書きをきっかけに記し始めた大学ノートの束です。大事なことをいろいろ書いていたため過去に探したことがあるのですが、いつの間にか、探すことさえ忘れていたわけで実にお恥ずかしい。
それはさておき、来客と執務が済んだ後、私は26冊にも及ぶノートのうち、最も日付が古い8月23日のものからページを捲りました。そこにはまず、来るべき研修会の冒頭スピーチの台本と目標ラップタイムが書かれていました。
1)お礼の挨拶 30秒
2)宮本工業グループの志について 30秒
3)今期の業績の成果と反省 2分
4)来季の方針 2分
5)私の夢と歩み 2分
6)2000年を迎えるにあたって 5分
どうやら当時の私は、この都合12分のスピーチを10分にまとめることに腐心していたようで「ああでもない、こうでもない」と推敲を重ねた跡が残っていました。
下書きの次にあったのは、日々の行動を凡そ500字をめどに記した日記のようなもの。さらにその間を縫うように、読んだ本の一部の写しがしたためられていました。本の写しは今でもやっていることで、ときには一冊まるごと書き写すこともあります。内容についての理解を深める、というより人並みに理解ができるよう、まずは指先で覚えるのが私の作法。面倒なようで、実は最も効果的な勉強法だと思っています。ただ、当時の私は随分と忙しかったのでしょう。自らに課したノート書きが滞り、その解決を模索するくだりも見つかりました。
その日の仕事はその日のうちに。これがモットーである私にとって、遅れた分だけ取り戻せば良いと考えていたが、負担が大きすぎる。(それなら遅れを取り戻すのではなく)先取りをすれば解決できる。(先取りにかける)時間を見つけることを習慣にすれば良い。
※括弧内は補足しました。
なかなかいいことを書くじゃないかと当時の私を褒めようとしていると、次のページには会社システムの2000年問題についての記述が。そう、時間の先取りも許さぬような一大事が当時起きていたのでした。
よろずやジロー、きょうのひとこと。
自分にとって大事なもの。
それを宝物っていうんだよ。