ここのところ、私のもとに足繁く通ってくる営業マンがいます。日本を代表する証券会社の和歌山支店に勤務する彼は札幌生まれの25歳。若いだけあって、少々強引だったり自分勝手だったりする人物ですが、どこか憎めないところがあり、時間が許すかぎり執務室に招き入れています。一方、彼のほうも「このご縁を良縁にしたいので」と礼を尽くしてくれています。
ひとことで言えば“ウマが合う”相手なのですが、その訳は彼のがむしゃらさにあります。怖いもの知らずといってもいい一本気なところは若き日の自分の姿を見るようで、思わず応援したくなるのです。そこで私は、これまでの自分の経験を機会あるごとに彼に伝えることにしました。例えば、私が彼くらいの年齢の頃、得意先から受けたはらわたの煮えくり返るような経験談について。当時の思いとともに現在の自分ならどう考えるかを、それこそ孫と向かい合うように話すようにしています。そんなとき、彼はいつも熱心にメモを取りながら聞いています。私が、各年代で果たすべき事柄を挙げたときもそうでした。
①20代は、会社のことより自分の足腰を鍛えよう。
②30代は、社会に通用する人間になろう。
③40代は、他人から信頼される顔を作ろう。
④50代は、やり抜く実行力を持とう。
聞き終えた彼は「勉強になりました。」とひとこと。「いやいや、そこは『心に刻みます。』やろう。」と思わず気色ばんだ私に、彼は頭をかきかきしながらペコリ。どこまでも憎めない男です。
よろずやジロー、きょうのひとこと。
若い人が目標に向かって頑張る。
その姿を見るのは実に嬉しいもの。