よろずやジロー~宮本次朗【プレカットの宮本工業グループ相談役】のブログ

プレカットの宮本工業グループ相談役、宮本次朗の一代記。人生を彩る貴重な出会い、感銘を受けた言葉を振り返りつつ、明日を語ります。

一番大事なもの①

f:id:yorozuyajiro:20200722172514j:plain

大事なものは変われども、お稲荷さんに手を合わせるのは子どもの頃から変わらぬ習いです。

 本当に大事なものってなんだろう・・・。「真実はひとつ」のはずですが、人によっても、またその立場、年代によってもバラバラであるような気がします。
 私が若い頃、年齢でいえば大学卒業後から25歳あたりまで、最も大事なのはお金、それも目前の資金繰りのためのお金でした。当時、父親の会社に入社したばかりの私は体力、気力ともに充実していて、お酒の付き合いが毎晩続いても平気。まさに向かうところ敵なしといった具合でしたが、一番の苦手は月末の父親からのひとこと。「次朗、おまえ身体は大丈夫か。」懸命に働く息子を労わる言葉かと思いきや、続くのは「今月は5千万ほど足らんから作ってきてくれ。」の指示。そのたび、金策に走らねばならないのです。ただ、こうした指示も毎月となると、こちらも慣れてきます。経理の古株さんに「何かいい方法はないですか。」と尋ねると「1週間後に入ってくる本船の丸太代で工面しろってことじゃないですか。」とのこと。そうか、そういう手があったのか。日頃お世話になっている材木屋さんに飛び込み、代金の先払い、つまり融通手形をお願いして、何度か急場をしのいだことを思い出します。そういえば、以前ブログに記した、いかだ事件※も目先の売り上げにこだわった結果招いた失敗でした。
 とにかく、お金が大事だったあの頃。先輩方からは「次朗ちゃん、お金は大事やろう。でもお金は人を殺すことも救うこともできるんやで。お父さんはそれをおまえに教えたいんやと思うで。」と諭されたものです。
 『叩かれて強くなり、叱られて正しくなり、笑われて反省する。』とはまさしく、当時の私の姿そのものだった気がします。

 よろずやジロー、きょうのひとこと。
 「何考えてるんやろ、このオヤジ!!」
 当時、よくそう思ったものです。

※2019年4月21日付ブログ『いかだ事件』参照。