K銀行のY元頭取は現在、北海道新冠町にある『太陽の森ディマシオ美術館』の館長を務めていらっしゃいます。2010年の開館以来、私も数回お邪魔しているのですが、今回、陶芸作家m.yam(エム・ヤム)さんの作品を見るため再訪しました。m.yamさんはYさんの娘さんで、満を持してのコーナー開設というわけです。
酷暑の8月。それでも和歌山に比べ随分涼しい風が吹く新千歳空港から車を走らせること約90分。競走馬の牧場が並ぶ通りを山間に進めば、元小学校だったという美術館です。元校舎の館内には、フランス幻想絵画の巨匠、ジェラール・ディマシオの作品が所狭しと展示されています。圧巻は、高さ9m・幅27m、世界最大の油彩画といわれる作品。この絵はさらに、上下左右に画を取り囲むように鏡が張り合わされていて、無限の幻想世界が描かれています。この他、ガラス芸術で知られるルネ・ラリック、心象作家として活躍する河島真規子らの作品が、館内や元屋内プールだったスペースに展示されています。
さて、m.yamさんの作品です。彼女はイラストレーター出身で、精緻なデッサンとユーモラスな表現を融合させた陶芸オブジェを生み出しています。展示コーナーには、そんな彼女の作品群と詩作が並べられており、ディマシオの絵と向かい合いながら、あたたかな空間を創り出していました。しかも、古伊万里が展示されていたときと比べて、なんというか収まりがいい感じ。なぜだろう。考えるうち、ここが小学校だったことにあらためて気づきました。子供たちがかつて走り回っていたであろう廊下の一角に並べられ、オブジェたちは自らのいるべき場所を見つけたかのように佇んでいたのです。
よろずやジロー、きょうのひとこと。
でっかい絵と小粋なオブジェたちに出会う北海道の旅。