背中を見せるだけではなく、ときには自身が経験してきたことを自分のことばで話すことも必要。そんな当たり前のことを気付かせてくれた出来事に、和歌山県の広報番組への出演があります。
2012年のこと。県の広報担当者が来社され、木材産業の振興をテーマに知事と対談してほしいと依頼されました。知事との対談、ましてやテレビ番組ということで丁重にご辞退申し上げたのですが、知事からは「是非に。」との再度のご依頼。それで熟考のうえ、出演をお受けしました。
さあ、ここからが大変。当時、和歌山木材協同組合理事長、木材工業団地会長にも任じられていたため、当社社長としてだけではなく、和歌山の木材業界を代表して話さなければなりません。資料に目を落とすばかりでは格好がつかないと思い、話すべき内容を頭に叩き込んで収録に臨みました。
和歌山を代表する地場産業としての木材産業について、これまでの歩みをお話しし、ようやく雰囲気にも慣れてきた頃、知事から「厳しい競争に勝つため、日頃から大切にしていることは何ですか。」という質問を受けました。執念を持って何事にも取り組むことだとお答えすると、では組合理事長としてはどうかと再度尋ねられました。そこで、経営も組合運営も基本は同じ。根気強く問題解決に立ち向かうことだとお答えし、当時、木材団地が抱えていた問題に関する知事のスピーディーな対応への謝辞を述べました。
官と民、立場は違えど、地域社会に対する思いは同じ。不慣れな私のせいで2時間にも及んだ収録をきっかけに、知事とはその後、和歌山の未来について遠慮のない議論を戦わせる間柄となりました。
ちなみに、この番組で私のひとつ前のゲストが日本経済団体連合会名誉会長の御手洗冨士夫さん。私の次がソフトバンクホークス会長の王貞治さんでした。畏れ多い限りで、今でも恐縮しきりです。
よろずやジロー、きょうのひとこと。
画面に映る、上がりっ放しの自分に喝!