よろずやジロー~宮本次朗【プレカットの宮本工業グループ相談役】のブログ

プレカットの宮本工業グループ相談役、宮本次朗の一代記。人生を彩る貴重な出会い、感銘を受けた言葉を振り返りつつ、明日を語ります。

母の子育て術②~竿竹と煮物の話~

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 これはいつのことだったか。学校帰りの私を、竿竹売りの自転車が売り声を上げながら追い越していきました。
 家に帰り着くと母がいたので、「さっき『竹屋ぁ、竿竹。』って物干し竿売ってたけど、竹の子どもがタケノコよなぁ。」と尋ねました。「そうやで。」「じゃあ、うちの物干し竿の両端、10センチぐらいずつ切ってもいい?」
 父の大好物はタケノコの煮物。そのとき私は、竿の端を煮込めば同じものができると考えたのです。母の許しが出たので糸ノコギリを持ち出して竿を切り取り、ちくわ状にしたあと、今度は斧で割って板状に。これで下ごしらえができたので、いよいよ鍋に入れて調理です。
 湯が沸き立ったところに砂糖と醤油、そして化学調味料を加えて煮込むこと20分ばかり。さらにかつお節を削り入れ、見るからに立派な煮物ができあがりました。
 「おかあちゃん、これ今日の晩ごはんのおかずに食べてもうて。」私が言うと、「次朗が作ったんやから、まずは自分で味見してみなさい。」と、いつかどこかで聞いたような台詞が返ってきました。
 その後はお察しの通り。まずは自分でやらせてみるという母の姿勢は、その日も揺らぐことはありませんでした。

 よろずやジロー、きょうのひとこと。
 目をつぶれば今も蘇る、あの日の味と母の面影。